ある日、いつもの廃校跡の運動場で妻がフレップを遊ばせていると、すでに使われていない廃屋となっている更衣室の奥で、入り口の方を向いて立っている犬をフレップが見つけて教えに来た。
妻が行ってみると左前足を失って腐敗臭すらしている黒い犬が脅えて唸り声を出している。
早速かかりつけの獣医さんに連絡したところ、早朝にもかかわらず大きなバスケットを抱えて駆けつけて来てくれた。診察の結果左前足を肩の部分から切断され、尻尾も切れて、肋骨を骨折して皮膚が剥ぎ取られ、肺が見えていた。
どうも電車にはねられたらしいのだが、きっと痛みをこらえながら身を隠せる所まで辿りついていたのだろう。けれども既に事故から1週間程経っているようでこれは助かりそうもない。
獣医さんは安楽死させることを思い浮かべたそうだが、水を与えると飲むし、ドッグフードも食べるし、これは生命力のある犬だと思って手術をすることにしたそうだ。その後完治するまで数ヶ月かかったが、元気に歩けるようになった。
その犬は一旦その獣医さんが引き取ってくださっていたのだが、身元不明の保護された犬たちで入院室が一杯になってしまって困っておられたので、我が家で引き取ることになり、メイと名付けた。推定3歳くらいだった。
メイは首輪をしていたが、飼い主は現れなかった。
放浪していた期間も長かったのかもしれない。目を離すと生ごみをあさるし、大きな音にはおびえるし、人を全く信頼していないようだった。そんなメイだから家に入れてからは大変だった。目を離すたびに家の中をめちゃくちゃにされて、妻もノイローゼ寸前になった。
フレップは怒ったりはしなかったが、きっと心の中では辛かったのかもしれない。
食べなくなり吐き戻すようにもなった。獣医さんに診てもらったところ、
「これは自家中毒です。メイのケアーも大事だけれど、フレップをもっとオーバーに可愛がれば治りますよ。」
と言われた。
なるほど大怪我をした犬だったから、少しメイにばかり関心がいっていたように思った。それからはフレップを中心に話しかけるようにしたところ直に良くなった。
メイはその後すっかり我が家に溶け込んで、ルールも覚えてくれた。
そして、生まれたばかりの仔猫を拾って育てたり、
清里に来てからは仔ウサギも育てようとした。
どうやらこれで昨年のシリーズに繋がりました。
その後のことは
犬の母性愛は種族を超えて
犬の母性愛は種族を超えて(その2)
犬の母性愛は種族を超えて(その3)
犬の母性愛は種族を超えて(その4)
犬の母性愛は種族を超えて(その5)
犬の母性愛は種族を超えて(最終編)
明日は番外編へと続きます。
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